横山東洋夫プロデュース / ALONE TOGETHER

 
No29. 苦渋の決断

文・齋藤廣一



 今、野田聖子氏のブログに注目が集まっている。そして多くの女性達の涙を
誘っている。野田氏は今年1月6日に50歳という高齢で、しかも帝王切開で第
一子の真輝君を産んだ。体外受精14回、流産1回という壮絶な出産であった。
 “女として最後の苦渋の決断だった”という野田氏は、“何としてでも子供
を欲しかった!”という出産の道を選んだのである。
そして神聖な女の思いを、打ち砕くかの様な悪夢が彼女を襲った。真輝君は
重度の疾患を持って生まれたのである。仮死状態で生まれた真輝君は、産声す
らあげられなかったという。
 臍の緒の中に肝臓が飛び出た状態の臍帯ヘルニアと、心臓につながる2本の
血管が1本しかないという重度の血管心臓疾患、そして食堂閉鎖症は口からの
食事は不可能な状態であることを、自身が綴っている。
 生まれたての小さな体に何本ものチューブを接続して、命をとどめていると
いうから、何とも過酷で切ない話である。つらい闘病を強いられている苦しい
胸の内を明かす母親としての野田氏の心中は、他人には計り知れない。
 傍観することしか出来ない私達には、病と闘う小さな命と、それを必死で守
ろうとする母親に、神のご加護を求めて祈ることしかできない。

 野田氏は、女性議員として勇猛果敢な政治家でもある。時として妨害や事務
所を焼かれるなど、卑劣な嫌がらせを受けたりもした。議員としての是非は別
として、史上最年少の27歳で岐阜県議会議員に当選し、小渕内閣の時代に37
歳という若さで郵政大臣の抜擢を受け、その後の政治活動は、誰もが知るとろ
である。「将来の女性首相候補」とまで言われた、実力派女性議員として、多
くの支持も厚いが、それだけに反発も多い。
 バリバリで多忙を極める議員活動、一方で女性として子供をもつ幸せに強く
憧れて、ついにその思いを決行したのであった。

世間では体外受精を繰り返す野田氏を揶揄する声もあり、本人は悩まされた
ことであろうが、切実に子供が欲しいという一途な女性の思いを、誰が批判で
きるであろうか。
 これまで野田氏は、政策課題として子供の問題を重要視してきた。特に「発
達障害の支援を考える議員連盟」で活躍し、2001年に発達障害者支援法を成立
させている。
 議員活動で子供を支援し、女として人生の重大局面で、重度の障害を持つ子
供を授かった。何と皮肉な出来事であろうか、これを神の試練とするならば、
野田氏は今生の人生で、子供との愛を築く魂の学びを経験させられているとし
か思えないところが、何とも切ない。

 人は誰しも、魂の課題をもってこの世に生まれて来ると言われる。人生で出
会う大きな関わりを持つ人との人間関係において、愛と癒しの学びを受けると
言う。
 見返りを求めない無償の愛を注ぎ、いつしか周りから愛の波動が返り、自ら
が癒される。それらがバランスするまで、魂は試練のサイクルを繰り返す。

ALONE TOGETHER...
ALONEは無償の愛を注ぐ事であり、TOGETHERは愛の波動が返り癒される事である。

(齋藤廣一)










著者プロフィール

齋藤廣一、1949年10月生まれ、61歳

1971-2000年、外資系コンピューター会社勤務。

ハードウェア・エンジニア、コンサルタント等を歴任。

2000年に退職後、株式会社さくらまねきを設立。

WEBシステム制作業に従事するかたわら、占星術を研究。

占術研究家として、全国に多くの教え子がいる。

最近は、人材育成に心血を注いでいる。


 

 
               
   

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12月 第一回 21世紀のキーワードになれるか (宮内淳)

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1月 第二回 21世紀のキーワードになれるか (宮内淳)

2月 第三回 21世紀のキーワードになれるか (宮内淳)

3月 NO.1 心の時代へ向かうキーワード (齋藤廣一)

4月 NO.2 宇宙の中の人間 (齋藤廣一)

5月 NO.3 極限の果てに (齋藤廣一)

6月 NO.4 一芸を極めた、女の旅路 (齋藤廣一)

7月 NO.5 マイケルジャクソンが死んだ (齋藤廣一)

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9月 NO.7 日本人の目覚め (齋藤廣一)

10月 NO.8 ノーベル平和賞が意味するもの... (齋藤廣一) 

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12月 No10. ALONE TOGETHER 2009(齋藤廣一) 

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4月 No14. 一人の野球人の死が残したもの... (齋藤廣一) 

5月 No15. 万博で起きた、もう一つの贈り物 (齋藤廣一) 

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9月 No19. 種を超えて (齋藤廣一) 

10月 No20. ノーベル化学賞が与えるもの (齋藤廣一) 

11月 No21. ハンカチ王子、卒業の季節 (齋藤廣一) 

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4月 No26. 揺れる日本列島 (2) (齋藤廣一) 

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6月 No28. 震災の奇跡 (齋藤廣一) 

 

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