BE☆SEE12号特集 【銀座の歩き方】

2009年1月28日(水)に銀座文祥堂で行われた第280回文祥堂フォーラム「TRA3流 銀座の楽しい歩き方」 〜銀座の庭の美しさ〜 を聞いてのHeiz会員の感想です。講師は株式会社銀座トリアンダ 代表取締役 岩田理栄子さんです。

レポーター

1.岩佐美由紀(いわさ・みゆき)

2.桜井もえ(さくらい・もえ)

3.渡邊孝典(わたなべ・たかのり)

4.七條正(しちじょう・ただし)

■レポート by岩佐美由紀

昨日、ヘイズの隣の文祥堂ホールで開かれた「銀座の楽しい歩き方」という講演会に参加してきました♪ 銀座っていいですね〜♪講演聴いて、改めてきちんと銀座さんぽをしたいと思いました。 講演の中で印象的だった話。 ○銀座は変わり続ける街。「変化が文化」。 ○銀座のディスプレイは商品を並べない(ミキモト、和光・・・)。 ディスプレイの目的はおもてなしだから。 ○銀座は小さなお店のほうが、大きなお店より大きな顔をしている なんかやっぱりヘイズと重なりますね〜。 公園の中で紹介されていて、特に行ってみたい!と思ったお店です。

★野の花「司」野花の専門店。この2Fには茶房があり、朝すぐに売り切れる銀座「空也」さんの生菓子が食べられるそうです♪http://www.nonohana-tsukasa.com/

★「よしや」どらやき屋さん。1文字3500円からオリジナルの焼印をつくってくれるそうです!(ヘイズの焼印を押したどらやきなんて粋ですよね☆)http://www.ntv.co.jp/burari/070609/info03.html

誰か今度一緒にさんぽ付き合ってください♪

(文・岩佐美由紀)

 


■■レポート by桜井もえ

文祥堂主催のフォーラム「TRA3 流 銀座の楽しい歩き方 〜銀座の庭の美しさ〜」

今日ちょうど「お散歩企画」の打ち合わせをしたところでタイムリーに参加できてよかったです。

フォーラムの内容は、400年の歴史をもつ銀座を舞台に、「銀座が世界一の商店街になった秘密」を映像とお話で交えながらお散歩感覚で探るというもの。

講師は、葛竝タトリアンダの岩田 理栄子さん。きもの姿が素敵。きものは「伊勢由 」と「銀座もとじ 」のもののようでした。

フォーラムの中で気になったのは・・・こんなに稲荷があったの?ということ。例えば、

・三越の屋上の「出世稲荷」

・松屋の屋上の「流行稲荷」

・資生堂本社の「成功稲荷」

・松坂屋の屋上「護稲荷」

・銀座で一番人気の「朝日稲荷」は、賽銭泥棒が頻発の為、 17:00になるとシャッターが下りるそう。

まだまだ他にもありますよ。飲食店で行ってみたいと思ったのは、コーヒー好きなら一度訪れてみたい「ロイヤル・クリスタル・カフェ 」

ドトール創業者・鳥羽会長が私財を投じて立てた「世界一のコーヒー・カフェ」だそう。

高級店が立ち並ぶ並木通りにあり、エイトミリオンに行く途中たまたま前を通ったのですが、入り口からして気軽には入り難いような、ひときわ華やいだ高級社交サロン的輝きを放っていて、「ここは何?」と思わず立ち止まったほどでした。

他には、いなにわうどんの「寛文五年堂 」や和カフェの「佐人 」も気になります。

それから、今日あれっ?と思った「色の謎」がフォーラムで解明されました。三笠会館近くの「マツモトキヨシ」の看板がいつもの「黄色と黒」から、「白とグレー?(黒)」になってたんですね。

「あれっ??塗り替え中??」と思ったらこれが・・・「銀座デザイン協議会 」が銀座にふさわしい色として、「赤」か「白」を提案したところ、企業がそれぞれ銀座にふさわしい色として選んだのが「マツキヨ」も「ユニクロ」も「白」だったそう。

洗練された大人の街「銀座」のイメージにふさわしい色として「白」を選ばれたようです。

銀座の街は移り変わりが激しく、今日は他にも発見がありました。

色がとてもきれでいいなぁ〜と思っていた、フランスの高級シャツブランド「nodus 」が「クリスチャン・コンスタン パリ 銀座店 」に変わってました。

移転したのか撤退したのかですがOPENしてまだ1〜2年だったと思います。早いですね。そして、時代を感じます。

最近は「ブランド店より、スィーツで心に贅沢を」という流れでしょうか?

nodusのネクタイやシャツはとても色がきれいだったのですが、お値段高めですし、日本ではそれほど知られていませんし、日本の男性には、難しかったかもしれませんね。

その点、洋服に比べると、スィーツなら少々割高でも手が出しやすく手軽に幸せを感じられますものね。不況といわれる時代でも高級チョコレートやスィーツのお店って強いですね。

フォーラムでおみやげにいただいた桜の枝を家に飾ってみました。春の気配を感じます。文祥堂のフォーラムはこれで参加無料なんです。素敵すぎる。

咲き終わった桜は、銀座唯一の旅館「吉水」に持っていくと、回収してくれて薪になり様々な用途に再利用されるというエコプロジェクトになっているんですって。

桜の灰で染めた着物や、桜で燻した燻製ができて、また新たに桜が楽しめたら素敵ですね。

銀座は、「和」の老舗や「和」の文化と「洋」の高級ブランド店が共存しながら移り変わっていくおもしろい街です。

銀座は楽しい。(文・桜井もえ:桜井もえさんのブログより転載)

 


■■■レポート by渡邊孝典

先日、文祥堂主催のフォーラム
『TRA3流 銀座の楽しい歩き方』〜銀座の庭の美しさ〜
に参加してきましたので、シェアします。
ちょっと長いです(苦笑)

講師は TRA3プロジェクト代表 岩田理栄子さん
※TRA3(とらさん)とは、「TRADE」(交易、やりとり=経済圏)と「3」(3次元=経済圏を指す数字)の造語

まず、最初に3つの質問が投げかけられました。
・銀座が美しい理由
・銀座では商品以外にあるものを売っている
・目に見えないものを楽しむ


回答は最後に、という事でまずは銀座の文化についてのお話し。
その中で気になったコトバをいくつか。

・古くからの物を売りながらも変化している
・小さな専門店
・身を持って所作で覚えていく
・目利き、千里眼を磨く
・自立した商売・・・小さな店ほど大きな顔をする
・回遊する楽しさ
・オンリーワン
・新しいものを受け入れる
・もてなしの心
・銀座フィルターを持つ(強制でなく自発的に)
・今日を輝かせる⇒蓄積したものが伝統になる

こういったものが自発・同時多発的に集まり土地のDNAになっている。
それが銀座の文化なんだと実感です。
しかもこれらのコトバはこの後紹介される各所・各店のエピソードで常に顔をだします。


これらを踏まえ、銀座の各所・各店のスナップ写真を見ながら散歩のスタートです。
ですが、一点一店の話を挙げていくとキリがないので割愛です(苦笑)
Heizにエピソードが記載された資料をおいて置くので、是非見てください。


1店1店本当に素敵な歴史やびっくりするエピソード満載です。


例えば洋食で有名な煉瓦亭、ここは料理もさることながらお店の雰囲気も有名です。
特にその中でも明治?大正?時代から使用されているというレジスター。
かなりの年代物です。
このレジスター、なんと今回のフォーラムの主催でもある文祥堂が実際に販売した物なのです。

洋食屋と文房具屋、何の接点もない(立地は近いけど)と思っていたけど実はこんな繋がりが!


また、いまAppleが入っているサエグサビル。
このビルは以前は銀行入ってましたが、その銀行が退去した後に有名ブランド等10社以上から入居の申し込みがありました。中には破格の金額を提示したブランドもありました。
その中でAppleに決まったのは、CEOであるスティーブ・ジョブスがやってきて財務諸表を片手に自分の経営哲学と、銀座に対する情熱(ジョブスは来日するとその度に銀座に来るほど銀座好き!)、そして銀座には電気・コンピュータの店が無いという新しい事へ挑戦で決まりました。
しかもこの時はまだiPodが今のように爆発的人気になる前の話なのです!
(また銀行が入ると3時にはシャッターが降りてしまうので、銀行以外で といった話も)


そして和光・ミキモト・資生堂に代表されるようなディスプレイ&イルミネーション。


これらに共通するのは「商品を展示してない」ディスプレイなんですね。
ディスプレイは街を表現するためのディスプレイ。
もてなしの心をディスプレイしているのです。


その他、銀座の歩行者天国にパラソルを出せるには条件がある、とか
中央通りの道幅は江戸時代から変わっていないとか
『鞄』の漢字はタニザワが作った、
銀座には稲荷が様々な場所にある、
路地を維持するために年間2億円掛かっている、
資生堂の会長のお祖母さんが周りの店の暖簾に、毎朝手を合わせてまわった 等々。

銀座発祥のモノがいかに多いか、そして各処・各店の歴史や背景、本当に驚きです。


最後に、最初に投げかけられた3つの質問ですが、
・銀座が美しい理由
朝の銀座を歩いてみると、各お店の前でお店の人が清掃している姿が見かけられるはずです。
そして商店街でも一丸となって掃除をしています。
こういった「おもてなしの心」が銀座を綺麗にしています。 


・銀座では商品以外にあるものを売っている
『徳』を商品に乗せて売っています。
商品だけでなく、商品に関する物語や高い品質、
そしてお客様に良い物を買っていただこうという気持ち。
これらが徳となって商品の価値があがっているのです。


・目に見えないものを楽しむ
お店に入ってみないとわからない、
買ってみないとわからない、
(お店の人と)話してみないとわからない、
五感+一感を使って街や商品に触れてみる。
商品だけでなく、その背景や関わった人の事、お店の歴史・逸話なども同時着目し
さらに視点を変える事によって広がる世界をも楽しめる。

という事になります。

銀座という街・土地が持っている品格は、その街・土地の記憶がDNAとなり受け継がれていきます。そのようなDNAがまた新しい物を生み出す土壌になっている。
銀座はそんな街なんだと実感できました。


最近昼ご飯食べた後に、銀座を散歩しているのですが、また新たな楽しみができました。


う〜ん、散歩する時間が足りないな!

(文・渡邊孝典)

 


■■■■・銀座文祥堂フォーラムレポート / アレンジ・シェア「Heiz銀座で銀座マンになるには?」 by七條 正



【第1章・・最高のもの】


「銀座マン・銀座ウーマンは自分たちの商品で全てを表現しなくてはいけない。」
と言われているらしい。。


銀座のどの店を見てもわかるようにおそらく「世界で最高のもの」を揃えている。
銀座職人の腕による銀座発祥の超高品質なものもあれば、世界一流ブランドもある。

銀座はまず「商品そのものの質」で最高でなくてはならない。
他の土地で売られているような商品に決して負けてはいけない・・だから
銀座創業の店は他の土地に支店を出すところが少ないという。

つまり「銀座のあの店じゃないとあの商品は買えない。」と客に言わせないといけないのである。

そこで大事になってくるのが、「商品が本当に最高の物かどうかを見分ける審美眼」を
店の人間がもてるかどうかということ。

そのためには「本物を見極めてきた先輩」について「本物を見極める訓練」をしなくては
いけない。先輩が手にするいろんな商品を自分も実際に手にとってみて一流の商品を学ぶ。
先輩がフェイス・トウ・フェイスでいろんな客と対峙する姿に習って「一流の接待」を学ぶ。
そして「一流の客」と「二流の客」の差を見極める眼までもが養われる。
銀座のバーのママの客を見る眼・・などはその代表例。

銀座の店の創業者は今でも自ら毎日店に出ている人が多いというHeizの目の前の煉瓦亭のオーナーは
毎日必ず店に出てレジ係をしていることで有名だし、
寿司屋の久兵衛では店主が「本業に専念・余計なことはしない・毎日店に出る」を貫いている。
そうして毎日部下に背中を見せ、商いでは何が大事かを語り続ける。だから店主が
10日店を空けると、銀座の店はすぐにダメになる・・とまで言われているそうだ。

これが江戸から伝わる「身を持って商いを覚えていく」ということであり、いわゆる「徒弟制度」と
呼ばれるようなものなのだろう。

目利きを育てる。審美眼を磨いていく。 一流の商品を扱う上でこの不可欠な要素に重きを置くのが
銀座なのである。

そして「最高」にもいろんな「最高」がある。

「いわし」しか出さない「いわしや」というお店があるそうだ。
多分、世界で一番の「いわし料理」が出てくるのだと思う。。

また銀座中のテーラーが物色にくる「ボタン屋」がある。創業63年の「ミタケ」。
世界中から数千もの数と種類のボタンを取り揃えているということだ。


「最高のもの(商品)=世界最高峰のもの」というのは、

最高の色。最高のコントラスト。最高の形。最高のデザイン。最高の使い勝手。最高の材質。最高に長持ちする。
最高の品数。最高に取り揃えられた種類。最高の素材。最高の味。最高の鮮度。最高のアレンジ。最高に為になる。

こんなものを指すのだと思う。
そして銀座の店はこういうものを最低何かひとつ持っているということになる。
銀座は「おもてなしの文化」も超一流であることも有名だが、だからといって商品がニ流でもいいかな?
などという甘えは許されるはずもない。

そんな銀座の3丁目、Heiz銀座に籍を置く私は、そんな「最高のもの」をもっているのだろうか?と
しばし自問自答。。。

何で太刀打ちするか?
何を持って世界に打って出るのか?
銀座久兵衛の店主が毎日店に出るように、私が毎日やり続けられることは
なんだろうか?

浮かんだ答えはただひとつ。「フラッシュバルブ」が反応することしか出来ない。

 

【第2章・・商品+α】

「銀座マン・銀座ウーマンに直接会わないと見えないモノ。」

商品は一人歩きする。
その商品が渋谷に行っても、新宿に行っても、ニューヨークに行っても、アフリカに行っても、
それを自分に家に持って帰っても、その商品自体が持つ最高の魅力は変わったりはしない。
銀座では最高の商品を取り揃えている。むしろ最高の商品だけを扱わなくていけない。
これは第1章でわかったことだ。
今回は銀座には、その商品にプラスαのものがある!というテーマに焦点を当てたい。

プラスαとは、もちろん「サービス」のことだと誰もが考えると思う。
しかし、銀座の「サービス」は時にその店の商品を凌ぐモノになってしまう。
すなわち、「あそこの商品はすごいわよ。」の代わりに、
「あそこのサービスはすごいわよ。」と客に言わせてしまうようなもののことである。
銀座では商品が世界最高・・ということは銀座のサービスは世界最高を超えるもの?になる。。。。

Heizから近い本屋の教文館。あのかたづけ士の小松氏もよく利用するカフェがあるところだが、
創業当時からたった2日で本の取り寄せをするきめ細かいサービスで有名だ。
今でこそアマゾンなどネットで注文すれば翌日に本が届くようになったが、昔なら1週間以上は
ゆうにかかった本の取り寄せ。どれだけのスピードなのかお分かり頂けると思う。
教文館の斜め向かいにあるデパート松屋銀座。建物一面にディスプレイをするということで
有名だが、北京オリンピックの100m決勝の翌日にその決勝レースの着順判定写真を
一面にディスプレイしたことが非常に驚かれたそうだ。要は一晩でそれをどうやってやったのか?
ということが誰にもわからない。「スピードが一流である」ことはスゴイことなのである。
また「鞄(かばん)」という漢字自体を作り出したことで有名なタニザワは、創業当時キャッチコピーとして
「鞄(かばん)を一生使えるように修理します。」と言って東京中の度肝を抜いたという。
そしておそらく実際に修理に持って行くと、店の人は本当に「喜んで修理させて頂きます。」と言って、
客も本当に気持ちよく修理を頼むことができるんだと思う。この「一生」のアフターサービスというか
フォローというか、なかなか真似はできない。。

銀座の店は入ってみないとわからない。実際買い物をしてみないとわからない・・とも言われている。
昔、お世話になった地元のダイビングショップの店員さんが関東の有名大学で水球をやっていたとき、
一度OBに銀座のバーに連れてきてもらった時の話を書きながら思い出した。。
言葉にならないほどの「最高に気持ちよい空間」だったそうだ。
レイアウト、シート、室内ディスプレイ、雰囲気、お酒の種類をはじめ、ママやスタッフの話題の選択力、話題の振り方、話の進め方、
その知識力、褒め方、お酒を薦めるタイミング、お酒の薦め方、お迎え、お見送り・・・など
すべてにバランスがとられ、且つ何をとっても超一流だったという。

この話を聞くと、銀座の店で買い物をすると、とてつもなくいい気持ちにさせてもらえるのだろうな・・
ということが推測できる。

客を一目見て、その本質を見抜き、その客にどうすれば「最高の気持ち」になってもらえるのか?
どうすれば「最高に気持ちよく、最高の商品」を買ってもらえるのか?
目利き力も含めた、いわば、「総合人間力」とか「超幸福感提供力」のようなものが銀座マン・銀座ウーマンには必要なのだろう。
先ほど出てきた「アフターサービス」にしても、単なるアフターサービスだけでなく、
「あの人があの店にいるから。」という人間の魅力というものがあってのアフターサービスとなっているのだろう。
そしてこれは本当に銀座のどの店にも言えることだが、必ずそこに魅力的な「物語=創業ストーリー」がある。

いつ誰がなぜ創業したのか。(フラッシュバルブ・志)
なぜ何十年も店が続いてきたのか。
どんな試練があったのか。
どんな教訓を得てきたのか。
何を大事にしているのか。(コンセプト)
そしてこれからどこへ行こうとしているのか。(ミッション)

これらの半端ない「銀座の店の物語」が世に轟いている・・と言っても過言ではないと思う。


銀座3丁目のHeiz銀座に身を置いてどうしても「銀座マン」を目指すと言うならば、私は自問自答せねばならない。
自分の仕事に対してマイ・ストーリーがあるのか?志があるのか?
そのストーリーは人に十分知られているのか?世に轟いているのか?
例えば私の銀座の店に当たるHeiz銀座に私の客が来たとき、「最高にここは気持ちいいね〜」と言ってもらえるのか?
また私に会って話をしたときに、「商品を超えるようなサービス性」や「魅力的な人間力」や「この人に会えてよかった!」
「この人に仕事を頼みたい!」「この人と一生パートナーでいたい!」と思ってもらえるのかどうか?

銀座の店のプラスαって実に恐ろしい。

「見える」商品に対して、「見えない」ものがプラスαとして商品に付随している。

とてつもないスピード力、とてつもないフォロー力、とてつもないアフターサービス力、
とてつもない目利き力、とてつもない物語力、そしてとてつもない人間としての魅力。。。
こういうものをひっくるめて、銀座マン・銀座ウーマンは「商品に徳を乗せている」と言うそうだ。
もちろんこの「徳」を乗せ続けるには、多分想像を絶する努力がその陰にあるにちがいない。
その弛まぬ地道な自分磨きこそが「銀座は衰えを知らない」と言われる所以なのであろう。

 

【第3章・・銀座の庭】

「銀座マン・銀座ウーマンが人知れず貢献しているモノ。」

最高の商品、最高のサービス、最高の人間力。
こういったものが銀座の店を支えていることが前回までで
わかったと思う。
しかし今日シェアするテーマなくしては「ここが銀座」と呼ぶことは
まずできないだろう。

銀座に来てまず眼を奪われるのは美しい建物である。
レトロ系では日産ギャラリー側から見た4丁目交差点の和光ビルの姿は銀座で最も美しいと
言われているし、新しいものではでは「牛乳パックビル」と呼ばれるミキモトのビルや
グニャリと曲がったデビアスのビルなどが眼を楽しませてくれる。改装が予定されている
歌舞伎座の近くにも変な形のビルができたのは御存知だろうか。

同じ文祥堂レポートを書いてくれた桜井もえさんの文から引用させてもらいたい箇所がある。
【三笠会館近くの「マツモトキヨシ」の看板がいつもの「黄色と黒」から、「白とグレー?(黒)」になってたんですね。
「あれっ??塗り替え中??」と思ったら「銀座デザイン協議会 」が銀座にふさわしい色として、「赤」か「白」
を提案したところ、企業がそれぞれ銀座にふさわしい色として選んだのが「マツキヨ」も「ユニクロ」も「白」だったそう。
洗練された大人の街「銀座」のイメージにふさわしい色として「白」を選ばれたようです。】
このように各会社は自社のイメージカラーでさえも「銀座ブランド」にふさわしいものに変える努力をしてるんだ・・ということがわかる。

街を歩き出して次に目を引くのが各店のショーウインドウ・ディスプレイだ。
Heizから徒歩1分のラグジュアリー・クロスの一角のシャネル。
そのウインドウはシャネルの「どれだけ黒という色が美しいか」というコンセプト
を存分に表現している。一方交詢社ビルのバーニーズでは、
「人が来たら笑っちゃうものを作ろう」というコンセプトで実にユニークな
ショーウインドウが作られているそうだ。私が時々通るJR有楽町駅からHeizに通じる
マロニエ通り、ガス灯通りだけを取って見ても各店の美しいショーウインドウは本当に私たちを
華やかなで最高の気分にさせてくれる。
ここにはある心意気が存在しているという。それは「商品(=売り物)」をショーウインドウに
並べない・・ということ。その商品を買いたい客がいたら、ウインドウから
それが消えるということになる。それは、「ショーウインドウは街の環境を作るもの」
という概念に反することになる、ということがよくわかる。
また街の環境作りという視点でミキモト、資生堂などは「オブジェ」で街に華を添えている。Heizから
近いミキモトのクリスマス・ツリーは皆さんご存知だと思うが、実は1ヶ月毎に新作が出る。
どれも今までに見たことのないようなデザインのオブジェが毎回道行く客の眼を楽しませてくれるのである。
そういう意味では前回お話した松屋銀座の壁一面のディスプレイのスケールなんてどれだけ壮大なんだ!?
とその気前の良さに脱帽せざるを得ない。

また店のショーウインドウをピカピカに磨いたり、店の前の道を掃除したりというのはもちろん当たり前。
開店と同時に売り切れの札が出る1日8000個の最中を売ることで有名な「空也」では、店主はじめ
店員全員が裸足になって店の前の道を磨く姿が冬の風物詩になっているという。掃除さえもが
銀座ではエンターテイメントになってしまうところがなんともスゴイ。。
ここまではそれぞれの店がそれぞれの店のショーウインドウ、店の前の道を美しくしているという話だが、
銀座の真髄は実はここからなのである。

歩道を歩いていると分かると思うが、季節ごとに咲く美しい花々、そして美しく剪定された緑の木々、
夜に女性の顔が最も美しく見えるような色が使われている街灯、銀でできた灰皿などが
年間2億円をかけて維持されているという。「世界一美しい通り」とその名を轟かせる並木通りの存在などは
こ ういう努力の結果なのだということがよくわかる。

そして銀座マン・銀座ウーマンが最も気を配っているのが、実は「路地」なのである。
なべちゃんのレポートの中に「回遊する楽しさ」というフレーズがあるが、
これは銀座に多く存在する細い「裏路地」を含んだ通りを歩いて楽しむということ。いや、むしろ
銀座通の客は「路地を真っ先に歩いてその景色、雰囲気を楽しむのだ」ということを
銀座マン・銀座ウーマンはよく理解しているということに他ならない。
裏路地が近くにある店は、掃除をするときにまずその裏路地を一番最初にピカピカにするということが
「ならわし」になっているそうだ。景観を乱す自動販売機のようなものも決して置かせないという徹底振り。
自動販売機を置けば、金になる。しかし金より大事なことが銀座にはあるということがわかっていると
いうことなのだろう。
また無料で講演会を280回(月に1回)もやり続けている文祥堂も街のエンターテイメントのひとつに
違いない。いろんな形での貢献がある。日曜の歩行者天国で休憩場所のパラソル。
あれは銀座への貢献度が高い会社から順に出せる、ということになっているそうだ。

自分の店に来てもらうためには、自分の店がある地域を通って来てもらうということ。
自分の店だけが綺麗でも地域が汚いとやはり客は来ない・・とは当たり前の話だが、
そういう考えを遥かに超えた「何か」が銀座の各店主・オーナーの中に埋め込まれているような
感覚を受ける。自分たちの庭、銀座の庭を美しく保ち、銀座に来る客に楽しんでもらえるように
しなくてはいけない・・ということが強制ではなく「自発的」に行われているところが
何を持ってしてもスゴイと思うのである。
なぜ銀座は美しいか?
各店の努力、町会の努力、これらが「自発的」になされていることで全体として「意志が街にある」と客に言わしめている事実
がまず存在している。その街の意志が何十年、何百年と継続するとやがてそれは土地の記憶となりDNAとして銀座マンに
組み込まれる。
そんな銀座マンがそれぞれのスタイルとコンセプトで今日も自発的に努力をし続ける。
惜しみなく「おもてなし」をし続ける。
だから銀座はいつも美しいのだ。

私がHeizの前のガス灯通りを掃除するってことはまずない。
では私にとって「銀座の庭」に当たるものはなんだろうか?
商品をディスプレイして客に楽しんでもらえる場所。。掃除ができる場所。
それは「Heiz銀座サロン」である。
ではHeiz銀座で客を楽しませることって?
ローケーション、内装、棚に置かれた会員の商品?
いや、月に1度の「Heizのイベント」があるじゃないか!!
これぞまさにHeiz銀座の銀座マンが力を結集して客を楽しませることのできる最高の場に他ならないのではないか?

さて、銀座マンを目指す私は、また今日も自問自答せねばならなくなった。
私はそのイベントを盛り上げて客を楽しませるために、惜しみない努力ができているのか?
それを自発的にやっているのかどうか?
自分らしいスタイルでかかわれているのか?
自分の事業のコンセプトがイベントの中で客に十分伝わっているのか?
銀座の「ギ」を聞いただけでウキウキするのと同じように、Heiz銀座の「H」を聞いただけで
客をウキウキさせることはできているのだろうか?
本当に「おもてなし」の心から動いているのだろうか?

銀座マンになる道は実に険しい。

 

【第4章・・銀座の客】


「銀座マン・銀座ウーマンが求めるもうひとつの風景。」
最高の商品。最高のサービス。最高の人間力。
そして、最高の「銀座の庭」を作ることに惜しみない貢献をすること。
これらの要素が「銀座マン・銀座ウーマン」に必要なことだということが
わかってきた。
今回は「銀座の庭」を構成するもうひとつの要素についてのお話。

三越デパートの「傘サービス」が全てを物語っている。
三越デパートでは雨が降ってきたときに「どうぞ自由にお持ち帰りください。」と
傘を客に無償で与えるそうだ。
こんな話を聞くと私なら「無料で傘がもらえてラッキー♪」と自分の傘に
してしまいそうになってしまう。
しかし三越デパートにはしっかりしたコンセプトがあった。

「また傘を持ってきてくれる人をお客様にしたい。」

銀座と言えば「高級」=「お金持ち」というイメージがどうしても
ぬぐえなかった。しかし、どうやらそれは間違っていたようだ。
「気持ち」とか「心意気」というようなものが実は重要な要素なのではないか?

傘を返しにきてくれるということは、またお買い物をしてくれるということ。。

無料で傘を提供した店の心意気。
それに対して、わざわざ傘を返しにきてさらに買い物して帰るというのは
店の気持ちに対して3倍にして返すようなものではなかろうか?

ある雨の日に銀座を歩いていて感じたことがある。
銀座を歩く女性の持つ傘は美しい。
いろんな色、いろんなデザイン、いろんな形。
その傘が銀座の街を美しく彩っていたのである。
ビニール傘を持っているのはごく一部の男性くらいだ。(私のことです・・−−;)

男性と言えば、ダンヒルなどは「男性が美しくかっこいい街」をコンセプトにしている。
洋服だけでなく、美容室、着物、などがダンヒルのビルには入っており
男性の「トータル・ファッション」を提供しているそうだ。

また着物といえば、「着物」で銀座に来ると「格段のおもてなし」を受けることになり、
病み付きになるほどなのだそうだ。

本物の銀座の客というのは、おしゃれな格好で銀座を歩く。
でもそれは「自分を格好よく見せよう」ということではなくて、
「自分も美しい銀座の庭の一部である。」という気持ちにさせる何かが
銀座の空気の中にあるような気がしてならない。

そしてそんな空気を作り出しているのは紛れもない
「銀座マン・銀座ウーマン」のおもてなしの気持ちなのである。
「気持ちのある方、心意気のある方にお客様になってほしい。」
という意志が滲み出てくるのが感じられて仕方がない。

Heiz銀座に籍を置く私はどうだろうか?
仕事をくれる人なら誰でもいいと思ってないだろうか?
傘を無料で差し上げたら私の客はそれを返しに来てくれるだろうか?
こちらが提供した気持ちのサービスに対して、3倍にして返してくれるだろうか?
それ以前に気持ちのある方にお客様になってほしい!というコンセプトがあるだろうか?
私の客はHeizに来るとき「お洒落」をしてくるだろうか?
それ以前に・・
銀座マンになろうという私自身に「銀座でお洒落をしようという心意気」はあるのだろうか?(−−;)
世界で最高の商店街、銀座。
銀座マンになる道は果てしなく遠い。。。

 

【第5章(最終章)・・銀座コンセプト】

「銀座マン・銀座ウーマンは銀座のコンセプトを持たなくてはいけない。」

煎餅を売る店がある。
噂によると「毎日」新たな工夫をしているという。
前の日と同じ煎餅は作らない。
どこか変えてみる。
惜しみなく変える。
必要がなくても変える。
意地でも変える。
なぜなら「変化」こそが「銀座のコンセプト」だからである。

銀座は新しいモノを寛容に受け入れる街とも言われている。
当然のことだ。
常に変化するためには「常に新しいコト」にチャレンジしていかないと
いけないからだ。
また銀座は最先端の流行を敏感に察知するとも言われている。
これも当然のことだ。

世界一美しい通りとして有名な並木通りには
2008年、中古ブランド品を売る店が大流行だったそうだが、
急激に大不況に陥った現在はそれに変わって「ブランド品を貸す店」が流行っているそうだ。
超高速早代わり。
世界の経済動向を最も早く察知して、素早く業態をを変化させている銀座だからこそ
なせる業である。
最高の商品、最高のサービス、最高の人間力。
最高の銀座の庭を作ることに惜しみない貢献をして、
おもてなしの文化に応える心意気のあるお客様を上客とし、
世界の動向をいち早く察知して「変化」しつづける。
だから常に最先端でいられる。
だから新価値が毎日生まれ続けている。
こんなキーワードが銀座文祥堂フォーラムから出てきた。
これが全てであるわけはないし、単に講演で聞いただけの話ではあるが、
講演をしてくださった方から「銀座の魂」が伝わってきたのは
確かなのである。

銀座にあるHeiz銀座も確かに変化し続けている。。
昨年は広報誌「新価値流行通信BE☆SEE」が発刊。
「GOGOビーゾー」や「銀座のなべ」が生まれた。
ゴッコ文化の「GCC」が皆に開かれ、
最先端の「A Brain Core」が最先端の「森本さんの古代の叡智」から生まれた。
Heiz銀座はやはり「銀座」らしい。
今年もHeizではまた何か新しいことが起こるに違いない・・という気配が
プンプン感じられるからだ。

そしてHeizに在籍する私は最後の自問自答をせねばならない。

私は少なくとも自分関連の業界の動向を知る努力をしているのだろうか?
自分の仕事の技を日々磨いて新しいものに変化させているだろうか?
変化をすることに億劫になっていないだろうか?

平田チェアマンは「Auch!漫画」の最後のコマで語っている。
http://heiz.jp/auch/member/auch_hirata1.html

「オレはヘイズの会員が銀座マンとなっていくのを楽しみに見ているよ」

「ビジネス」の場で「卵を孵化させること」が自分の役目と考えているチェアマンが
なぜ「銀座」を選んだのか、ということがなんとなくわかる気がする。

アレンジ・シェア「Heiz銀座で銀座マンになるには?」序章から第5章までの全6話にお付き合い頂き、ありがとうございました。

ではまた銀座でお会いしましょう。

(文・七條正)

 

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