ナカバマン・コラム 「知財って何だ!?」
ナカバマン・コラム


『知財って、何だ!?』−第1号(2008年2月)−

ヘイズ銀座会員の皆さん、こんにちは。
アウチ・マンガから生まれた「ナカバマン」こと、実践知的財産コンサルタント《夢たまご》
の中林です。
この度ヘイズ銀座広報誌の創刊にあたり、知財と創業・経営を絡めたコラムを書かせて
いただくこととなりました。 よろしくお願いいたします。
そこで、記念すべき初回は『経営者の仕事』についてのお話です。

皆さんは、経営者の最も重要な仕事ってご存知ですよね。
そうです、「企業価値を高める」ことです。
ここで気を付けていただきたいのは、企業価値を高めることを、ビジネス上の利益向上、
すなわち、売り上げを増加させることだけにとらわれないことです。
ビジネス上の利益の範囲を、売り上げの増加だけに狭くとらえてしまうと、昨年、巷を
騒がせた東京のお菓子屋さん、北海道のお肉屋さんやお菓子屋さん、秋田の鶏肉屋さん、
三重のお菓子屋さん、大阪の料亭さん、等々のように、モラルの崩壊やコンプライアンス
の違反を引き起こしてしまいます。(まぁ、モラルの崩壊やコンプライアンスの違反って、
創業・企業・経営に対する「志」によるところも大きいと思いますが・・・。)
そればかりか、ある日突然、競合会社の出現(新規参入)により順調にいっていた事業
が衰退してしまうことや、もしくは、知的財産権の侵害により商品の販売やサービスの提
供が出来なくなってしまうこともあります。
つまり、気が付いたら売り上げの低下を引き起こしてしまっていることがあります。
したがって、経営者として企業価値を高めるためには、売り上げを増加させると共に、
売り上げの低下を回避するといった二つの視点(意識)が必要になるといえます。

それでは、売り上げを増加させると共に、売り上げの低下を回避するためには、何が必要となるのでしょうか?
それは・・・、次回お話させていただきます。
では、またお会いしましょう。

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『価値』を『稼知』に変える経営者のための知財参謀
夢たまご 代表 夢魂悟(ゆめたまご)夢たまごHP
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文/中林 猛季


ナカバマン・コラム


『知財って、何だ!?』−第2号(2008年3月)−

文/中林猛季(なかばやし・たけとし)
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 前回、経営者として企業価値を高めるためには、売り上げを増加させると共に、売り上げの低下を回避するといった二つの視点が必要であるとお話いたしました。

 それでは、二つの視点を達成するためには、何が必要となるのか?
 それは「知的財産の管理」です。

 誤解されないためにもう一度言いますが、「知的財産権の管理」ではなく「知的財産の管理」です。 ご注意ください。

 ナカバマンから見ると、世間では、情報の発信側が知的財産と知的財産権とをごっちゃにしているため、それを受け取る側でも知的財産=知的財産権と認識している傾向にあるように思えてなりません。

 その結果、多くの人が「知的財産の管理」=「権利取得」と短絡的に結び付け、何でもかんでも出願することが知財常識であるかのように振舞っています。

 でも、知的財産を正しく認識し、巷の知財常識に流されずに適切に管理しておかないと、あとで「知財の価値ってこんなもの?」といった 期待外れの結果をもたらしてしまうことがあります。

 これって、知的財産と知的財産権とを混同しているために引き起こされてしまう悲劇ですね。

 このような悲劇にあわないためにも、知的財産を正しく認識し、適切に管理しておくことが必要なのです。
 ここで、誤解の無いように言っておきますが、知的財産権の権利取得を否定しているのではありません。

 権利の取得は、他社に対する競争優位を獲得することとなるため、企業にとって非常に大きな武器と成り得るものです。 むしろ、お勧めします。
 ただ、権利の取得を行うのであれば、知的財産の適切な管理に基づいて行う必要があるといっているのです。

 創業したばかりのときって、兎角いかにしてビジネスを成功へと導くかにとらわれがちですが、ビジネスを成功へと導くためにも知的財産の管理は重要となります。

 それでは、なぜ、知的財産の管理がビジネスを成功へと導くのでしょうか?
 それは・・・、次回お話させていただきます。
 では、またお会いしましょう。

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『価値』を『稼知』に変える経営者のための知財参謀
 夢たまご  代表 夢魂悟(ゆめたまご)
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『知財って、何だ!?』−第3号(2008年4月)

文/中林猛季 text= TAKETOSHI NAKABAYASHI
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 前回、ビジネスを成功へと導くためにも知的財産の管理は重要であるとお話いたしました。
 その理由は、知的財産の管理によってビジネスの差別化が図れるためです。
 つまり、知的財産を管理することで、今の自分のビジネスに活用されている知的財産は何か?将来のビジネスにおいて必要となる知的財産は何なのか?といったことが把握でき、他社とは違う自社の強み、すなわち「売り(独自性)」が明確となるのです。

 したがって、明確となったビジネスの「売り」をお客さんに伝えることで、効率良くかつ効果的に集客を果たすことが出来ることになります。
 しかも、その「売り」を権利化した上で商品やサービスを提供することは、市場を独占し、他社の参入を防ぐことにも繋がります。
 つまり、取得した権利が、市場からの他社の排除を促すと共に、他社の新規参入を防ぐ障壁となって皆さんのビジネスを守ってくれるのです。
 ところが、知的財産を適切に管理していないと、自社の本来の「売り」を見誤り、関係の無いことを一生懸命にお客さんに伝えようとして、結局何も伝わらないで終わってしまうことになる虞が多分にあります。
 その結果、最初は他社に先行して優位に商品やサービスを提供していたとしても、すぐに多くの競合他社が参入・追従し、やがてその優位性を失ってしまいます。

 そればかりか、自分よりも先に優位性を気付いていた他社の権利に気付かず、思い切り地雷を踏んでいた(他社の権利を侵害していた)なんてことにもなりかねません。
 したがって、知的財産の管理はお金の余裕が出来てから・・・なんて悠長なことを言ってはいられないのです。
 同じ土俵でビジネスを行う以上、創業したばかりなんて言い訳にはなりません。創業したばかりか否かに関係なく、知的財産の管理が必要となります。
 むしろ、新たに何かを始めるとき、または創業のときから、適切に知的財産の管理を行っておくことが望ましいです。
 なぜなら、知的財産の管理によって、ビジネスの拡大途中でその進路を妨げられることなく、何の心配も無く安心してビジネスを行うことが可能となります。

 このように知的財産の管理は、売り上げの低下を回避するだけでなく、結果的に、売り上げを増加することにも寄与するものであり、ビジネスを成功へと導くためにも重要なものなんです。
 それでは、管理する必要のある知的財産とは、いったいどういうものなのでしょうか?
 それは・・・、次回お話させていただきます。
 では、またお会いしましょう。

文・中林猛季(なかばやし・たけとし)

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『価値』を『稼知』に変える経営者のための知財参謀
 夢たまご  代表 夢魂悟(ゆめたまご)
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ナカバマン・コラム


『知財って、何だ!?』−第4号(2008年5月)

文/中林猛季 text= TAKETOSHI NAKABAYASHI
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 前回、知的財産の管理はビジネスを成功へと導くためにも重要であるとお話いたしました。

 それでは、管理する必要のある知的財産とはいったい何なのでしょうか?また、知的財産と混同されることのある知的財産権とはいったい何なのでしょうか? 

 まず「知的財産」とは何かといいますと、「知的財産」は、知識だけでなく知恵も加わったビジネス上の経済的価値を有する全ての情報のことをいいます。

 たとえば、お客さんがあなたの商品やサービスを求めてくる理由を考えて見てください。その理由には、きっとあなた独自のちょっとした工夫が施されている、すなわち「知」が介在し活用されているはずです。

 工夫という言葉で表せない方は、信用という言葉に置き換えて考えて見てください。きっと、お客さんはあなたを信用して、あなたが提供する商品やサービスを求めているはずです。

 このような工夫や信用って、お客さんが求めているものをあなたが考え、提供しているからこそ生まれてくるものであるので、やはりそこにはあなた独自の「知」が介在し活用されているといえます。

 したがって、あなたのビジネスはこのような工夫や信用によって成り立っているのであり、その工夫や信用は、正に経済的価値を有する情報、すなわち、「知的財産」といえるものなのです。

 巷では「私のビジネスには知的財産なんて何も無いですよ。」といった声をよく耳にしますが、このような方は、今まで自分の「知」について気付かないでいただけ、その価値を見極めていなかっただけなのです。 非常に、もったいないですね。

 ビジネスの価値を見極めていなかったことで、大切な知的財産の価値が低下してしまわなければ良いのですが・・・。

 一方、「知的財産権」は、一部の知的財産に付与された権利であって、その知的財産を独占排他的に支配し得る社会的強制力のことをいうものです。たとえば、特許権とか商標権、著作権、等々があります。

 ここで注意をしなければいけないことは、この知的財産権が有する効力だけにとらわれて、企業価値を高めることを短絡的に考え、すぐに権利化を望まないことです。

 企業価値を高めるためには、自社の知的財産を見極め、その活用に応じて権利化を含めた知的財産の管理の仕方を判断することが重要となります。
 つまり、ビジネスを成功へと導くための知的財産の管理には、ビジネス上の価値に応じた「知的財産の整理・整頓」が必要ということです。

 それでは、知的財産の整理・整頓は、どのように行ったら良いのでしょうか?

 それは・・・、次回お話させていただきます。
 では、またお会いしましょう。



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『価値』を『稼知』に変える経営者のための知財参謀
 夢たまご  代表 夢魂悟(ゆめたまご)
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ナカバマン・コラム


『知財って、何だ!?』−第5号(2008年6月)

文/中林猛季 text= TAKETOSHI NAKABAYASHI
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 前回、ビジネスを成功へと導くための知的財産の管理には、ビジネス上の価値に応じた知的財産の整理・整頓が必要であるとお話いたしました。
 それでは、知的財産の整理・整頓とはいったいどのように行なうのでしょうか?

 まず、あなたのビジネスにおいて利益をもたらしてくれている価値は何かを考えてみてください。

 つまり、今の自分のビジネスに活用されている知的財産が何なのかを見極め、自分固有の知的財産の部分と、先人たちから得た共有の知識財産の部分とを分けるように整理するのです。

 さて、あなたはご自身のビジネスにおける知的財産を見極めることができましたか?
 きっと多くの方が、自分のビジネスにおける知的財産を明確に定めることができず、自分のビジネスにおける知的財産はこれかな? たぶんこれが知的財産だろうなぁ?といった、ぼやっとした形でしか捉えられないでいることと思います。

 ご心配なさらずに・・・
 私の知る限り、かなり多くの方が自分のビジネスにおける知的財産を明確に定めることができずいます。
 ビジネスにおける知的財産なんて、意識しないとなかなか気付きませんからね。

 皆さんが自分のビジネスにおける知的財産を明確に定めることができず、ぼやっとした形でしか捉えられないでいるのは、あなただけの知的財産を、今まで先人たちから得てきた共有知識財産と一緒にしているからなんです。
 是非、この機会に自分のビジネスにおける知的財産を整理し、その輪郭を明らかにしてみてください。

 どうです? 自分のビジネスにおける知的財産を明確に定めることができましたか?

 同業他社のビジネスとは明らかに異なった特徴が見えましたか?
 この他社とは相違する特徴こそ、市場において差別化を図るあなたのビジネスの売り、すなわち、独自性となるものです。

 さて、自分のビジネスにおける知的財産を明確に定めることができたら、次に、この知的財産をビジネスに関与している程度に応じて仕分けてください。
 つまり、ビジネスへの貢献度に応じて分けるように知的財産を整頓するのです。このとき、ここでのビジネスの中に将来のビジネスを含むことを忘れないでください。

 そして、知的財産を整頓したら、それぞれの知的財産に応じて適切に護る手立てを講じるのです。

 折角の素晴らしい知的財産がありながら、そのまま何も手立てを講じないのは、あなたのビジネスの価値が十分に発揮されないばかりか、むしろビジネスの価値を低下させてしまい、非常にもったいないことです。

 また、このとき、素晴らしい知的財産は護ることはせず、皆で共有すれば良い、といったお考えがあるかと思います。
 でも、一度手放した(開放した)情報は、あなたの意図に関係なく勝手に一人歩きしてしまいます。

 そして、世の中には自己中心的な輩もおりますので、あなたの知的財産を、あなたの意図に反して非道徳的な使い方をする虞が多分にあります。
 そんなことを避けるためにも、知的財産を適切に護るための整頓が必要となるのです。

 皆さん、知的財産の整理・整頓についてお分かりになりましたか?
 ところで、ここで重要な注意点が1つあります。

 それは・・・、次回お話させていただきます。
 では、またお会いしましょう。


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『価値』を『稼知』に変える経営者のための知財参謀
 夢たまご  代表 夢魂悟(ゆめたまご)
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ナカバマン・コラム


『知財って、何だ!?』−第6号(2008年7月)

文/中林猛季 text= TAKETOSHI NAKABAYASHI
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 前回、知的財産の整理・整頓を行なう上で、重要な注意点が1つあるとお話いたしました。
 この重要な注意点とは、知的財産を何のために活用するのか?その目的を定めることです。
 この目的を明確にしておかないと、誤った知的財産の整理・整頓によって企業価値を低下させてしまいます。

 たとえば、以前岐阜県において、特許出願を担保に商工中金より1,000万円の融資を受けた企業が、特許公開公報が発行される前に、その発明内容を記載した出願控を平気でホームページ上において公開している会社がありました。
 たぶんこの企業は、特許出願を行なったことをホームページ上において知らしめることで、技術力があることを市場にアピールしたかったのだと推察いたしますが、知財管理の点からみると非常に問題です。

 なぜ、このことが問題なのか、意味が分かりますか?

 簡単に言いますと、このような技術の公開は、第三者に無償で技術開発のヒントを与えてしまうものとなるのです。
 これは、知的財産と知的財産権の区別がつかず、特許の取得だけを知的財産戦略と誤解しているために引き起こされてしまうビジネス上の利益損失例と言えます。

 つまり、知的財産を何のために活用するのかといった目的を定めずにいた結果、企業価値を低下させてしまった例といえます。
 したがって、出願による権利化によって知的財産を護るのであれば、どんな知的財産を出願の対象とするのか? といった出願のメリットとリスクを考えるのです。

 たとえば、目的の例としては、

 ・自社の事業を護る。
 ・自社事業の自由度(安定実施)を確保する。
 ・他社の市場への新規参入を防止する。
 ・他社を市場から排除する。
 ・効率的に収益を獲得する。
 ・市場の信頼性を得る(高める)。
 ・先進的なイメージを得る。
 ・権利から収益(ロイヤリティ)を得る。

といったものがあるでしょう。

 その目的を定めた上で、その目的を達成すると、どれくらいのメリット(利益)があって、その目的を達成するためには、どれくらいのリスク(費用)が掛かるのか算出し、費用対効果を考慮して、知的財産を護る(長生きさせる)ために講じる手立てを選択する判断を行なうのです。

 以前も言いましたが、知財とは、特許とか商標、意匠といった権利化が可能な一部の情報だけではなく、ビジネス上の経済的価値を有する全ての情報をいいます。

 このような知財を意識し、適切に管理することが企業価値を高めることに繋がります。
 でも、いきなり100点満点の知財管理を目指すのは、費用も労力も掛かり難しいです。

 ですから、どんな知財管理が望ましいかを知った上で、10点でも20点でも出来る範囲の知財管理を行ない、徐々に知財管理の割合を高めていくことが重要なのです。

 何もしなかったら、いつまでたっても0点のままですからね。
 皆さん、企業価値を高めるためにも、売り上げを増加させると共に、売り上げの低下を回避するといった二つの視点を達成する知的財産の管理を出来る範囲で行うようにしください。

 以上で、ナカバマンのコラムは終了です。
 これまでの私の話によって、知財が何であるかをご理解いただき、ビジネスにおいて知財は身近なものだとお感じになり、そして、少しでも知財管理を実践していただければ嬉しいです。
 全6回お付き合いいただき、ありがとうございました。

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『価値』を『稼知』に変える経営者のための知財参謀
 夢たまご  代表 夢魂悟(ゆめたまご)
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