井貫裕文の文章講座
【 井貫裕文の文章講座 vol.1】

text= HIROFUMI INUI
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第一回「はじめに文章全体を見て」

1.各パラグラフごとに改行がなされているか、また追い込みを必要とする文があるか否か。

2.ホワイトスペースをとり、読みやすく構成されているか否か。1.と平行して確認する必要がある。

3.「そして」「しかし」「だから」「ところで」「なぜなら」などの接続詞を多用してはいないだろうか。接続詞の使いすぎは、文章を間延びさせる原因となり、接続詞がなくても文意が伝わるケースが多い。接続詞を使うときは、文章を論理的に展開させるときや文と文の関係をはっきりさせるときなど必要最低限にとどめなければならない。

4.同じ文字・同じ言葉など、重複表現を繰り返し使ってはいないだろうか。また重言にも気を付けなければいけない。例えば「馬から落ちて落馬する」や、反対に「馬に乗馬する」。その他にも「石を投石する」「火事が鎮火する」「被害を被る」「船に乗船する」等など、重言は日常、気付かないうちに使っていることが多い。スムーズに読めたとしても、漢字が重なっているようであれば見直す必要がある。

5.誤字・脱字はもちろんのこと、読点が小用・多用されてはいないか。読点の付け方ひとつで文章は大きく変ってくる。

6.数字や「」、……などの、特殊文字の付け方に問題はないか。これも統一を図る。また!や?などの符号の後は、一マス開けなければならない。

7.開く漢字とそうでない漢字、常用漢字や当用漢字の使い方に問題はないか。小説ではそのときの状況や雰囲気で変わることがあるので特に厳しく分ける必要はないが、文章全体に統一を図る必要がある。一般的に漢字の望ましい含有率は20〜30%程度だといわれている。「ワープロで文章を書く人は、変換できるものはすべて漢字にしているのでは?」と思えるものもあるので、平仮名と漢字のバランスをとることを心掛ける。

8.です・ます調と、だ・である調を混同して使用していないだろうか。この「文章演習のまとめ」は、「だ・である調」である。
「だ・である調」は簡潔で、余分なニュアンスを含まないためスッキリとした印象を与える。新聞や雑誌のほとんどがこの文体で書かれている。「です・ます調」は、読者に対する敬意を表現できる文体で、やわらかく丁寧な印象を与えたいときに向いている。

基本的にエッセイはどちらの文体で書いてもいいが、「です・ます調」だと文全体が漠然としたぼやけた感じになることがあり、感情移入が足りないこともある。しかし逆に幻想的な文、何か他人事のような遠くから見た曖昧な文として用いるケースもある。両者の違いを理解したうえで、文章の内容に適した文末を選び、そして必ず統一を図る必要がある。

文/井貫裕文(いぬき・ひろふみ)


■Heiz度80(TQ度100・BQ度40・WA(話)度100)

お名前に「文」がつくだけに(?)文章へのこだわりを感じます。
作文の先生がついに登場。これでBE☆SEEに投稿する人も安心♪(編集部)


【 井貫裕文シリーズ vol.2】

第二回 井貫裕文の文章講座 「文章の内容を見て……」

text= HIROFUMI INUI
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1. 文章の構成に問題はないか。同じストーリーの文章でも、構成によって大きく変ってくる。
起承転結を念頭におき、何度も推敲して確認すること。

2. 抽象的な文章、理由が必要な文章はないか。
例えば『美しい』とか『感動した』とか、漠然とした言葉を使ってはいないだろうか。
何が美しいのか、何に感動したのか理由が必要ではないだろうか。
状況を明確に説明することによって、文章はよりリアリティーを持って読者に訴えかける。
また物事を断定している文章にも、それを裏付ける文章が備わっているだろうか。これも推敲の段階で確認すること。

3. 作品の「核」となる自分の伝えたいことが、うまく表現出来ているか。
著者が読者に伝えたいことに力を入れすぎたり、感情的になることによって、逆に読者に伝わりにくいことがある。
時として文章を控えめにかつ的確に絞ることで、より一層、著者の心境や言葉を読者に伝えられることもある。

4. 文章とテーマが合っているか。
作品がよく仕上がっていても、テーマと合わないことにより、違和感を覚えることもあるので注意する。

5. 著者しか知らない土地や物、言葉や専門用語を多用し、読者を読みづらくしてはいないだろうか。
仕事や趣味の話になると、このような問題が多くなるので注意する。要は読者が容易にイメージできれば良いのである。
そうでない一般的な文章でも、著者の先入観によりイメージしにくい文章があるので、他人に指摘してもらい、推敲を重ねる必要がある。

6. 常識を踏まえた文章になっているか。著者の一般常識が問われる問題である。
これは知識だけでなく、人間的なモラル面も含まれてくる。

7. 文章にリズムがあるか。いわゆる文の流れであるが、これはとても大切なことである。
文章が単調になってはいないか、また読者を飽きさせてはいないか、音楽と同じで自分しかないリズム感というものを誰しも持っているはずである。
リズム感は9.で説明するオリジナリティーとも密接に繋がっている。

8. 自分の眼で見、耳で聞いた実体験(ノンフィクション)を強調すると、より読者を引き込みやすい。
しかし著者と作品の中で登場する「自分」とは、違う視線で書かなければならない。
作品の中では、すべての登場人物と同じ立場・同じ視線を保たなければ、一人よがりな作品になってしまうので注意する必要がある。文章によっては、さらにリアリティーを増すために数字や比較対象物を入れるとより一層作品が濃いいものになる。

9. 文章は作者の性格が如実に現れる。それを良い意味でとれば「オリジナリティー」、悪い意味で取れば「悪癖」となる。
しかし一番良くない文章は、オリジナリティーのない説明書のような淡々とした文章である。
どんな文章になろうとも、自分しか書けない文章を心掛ける必要がある。


文/井貫裕文(いぬき・ひろふみ)
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■Heiz度66(キ度100・TQ度100・BQ度80・銀座度0・EDGE度50)

分かりやすくまとまっていますね〜。とても参考になります。自分のことについて考えてみると7.8.9は常に意識しているつもりです。でも6.については・・・汗(編集部)

 

 

 


【 井貫裕文シリーズ vol.3】

第三回 井貫裕文の文章講座 「文章力を高めるには……」

text= HIROFUMI INUI
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 文章力を高める一番の方法は、やはり作文、日記、手紙、論文、小説、と何でも構わないので
書くことが一番の近道となる。
もちろん論文と小説では、書き方が異なってくるが、
人に何かを伝えるという意味では、どの文章も基本はすべて同じである。

 また書くことと同じくらい重要なのが本を読むことである。
どんなジャンルの本でも構わないので、本を読むことによってその作品の構成力、表現力、
また著者の癖などが読み取れるようになれる。
そうなれば自然と書く作品にも変化が生じてくるはずである。


 ◇最後に……

 自分の書いた作品の欠点は、なかなか自分自身では気付かないものである。誤字・脱字であれば、声を出して文章を読み返せば容易に見つけることはできるが、
文章の構成や表現、その他、前項で記した内容になってくると見落としている部分が多くあるものである。
そのようなときは様々な人に見てもらって欠点を克服し、作品の完成度を高めていく必要がある。

 文章は常に、自分の意見や感想などを読者に判り易く伝えることが基本となる。
しかし時として、ここに記した内容に当てはまらないこともある。
文章を書くときに、こうしなければ絶対だめだ、という原則はないが、以上のことを念頭に置くことで、
より良い文章を書くことができると思われる。


文/井貫裕文(いぬき・ひろふみ)


■Heiz新価値度66(書き差間度100・TQ度100・BQ度80・銀座度0・EDGE度50)

この三部作は物書きバイブルになるかもです。(編集部)